もう何回こうしていただろうか。 右手の平は熱をもち、表面がじんじんと鈍く痺れている。 まるで分厚い手袋をかぶされたようだ。 男の硬い手の平ですらそうなのだ。 柔らかいお尻を叩かれ続けた先輩の痛みは比べるまでもないだろう。 白い肌は指の形を残しながら熱くはれ上がり、カーテンのおりた暗い室内でも 色が変わっているのがわかるくらいだ。 [早紀]「あうっ……かはっ……」 それでも、俺は叩くのをやめなかった。 べちゃっ、ぴちゃっ…… 叩くたびに、水音が混じった。 濡れているのだ。先輩のそこが。 [稔]「おやおや……もうおもらしかい?」 [早紀]「ちがっ……これ……はあっ……」 [稔]「何が違うの? ここがこんなにとろとろになっているのに まさか僕が気付かないとでも思ったのかな?」 [稔]「早紀は嘘付きだね……お仕置きが必要だ」 [早紀]「あうっ……」 [稔]「また濡らしたね。まったく、困ったなあ。 僕は君を罰したいのに、それを悦ばれたらどうしようもないじゃないか」 [稔]「早紀は大した変態さんだ」 [早紀]「ご……ごめんなさいっ……おとう……さんっ」 ――先輩は、俺を『お父さん』と呼ぶようになっていた。 はじめはただのプレイかと思ったが、その声に先ほどまでの余裕は まったく感じられなかった。 快楽が理性を上回り、先輩に幻覚を見せているんだろうか。 先輩の親と俺とじゃ年齢も背格好もずいぶん違うだろうに。 ……まあ、先輩が俺をパートナーとして選んだんだから、 もしかした多少は通じるものがあったのかもしれないが。 ピシッ――。 [早紀]「ひゃんっ……」 秘唇を中心に強く打ち据えると、先輩は一声、高く甘く鳴いた。 ぬるぬるとした粘り気のある液体が俺の手のひらにべったりとまとわりつく。 先輩が悦んでいる。 その感触は、俺を大胆にさせた。 初めは手加減していたけれど、強く叩いた方が反応がいいと わかってからは、力を緩めることはなくなっていた。 俺は次第に、この行為に夢中になっていった。 先輩を守りたいとか、救いたいとか、そんなキレイゴトはどこか飛んでしまい、 この可愛らしいおもちゃをめちゃめちゃにブチ壊してやりたい、 そんな昏い嗜虐欲が俺を突き動かしていた。 [稔]「ほら、僕の右手がべたべただ。 ただ叩いているだけなのに、そんなに気持ちいいの?」 左手の人差し指で手のひらをぬぐうと、愛液がたらりと糸を引いた。 [早紀]「あ……ううぅ……」 [稔]「きれいにしなさい、ほら」 その指を鼻先に差し出すと、先輩は顔を真っ赤にしながらも おとなしくぺろぺろと自分の愛液を舐めとった。 もう一度手のひらの愛液をすくい、今度は一気に口内に侵入させた。 指先で歯列をなぞり、そのまま奥へと突き立てる。 [早紀]「ん……んぐっ……」 先輩は軽くえづきながらも、けなげに指先に舌を絡めてきた。 自由にならない首をそれでもわずかに傾げ、 俺の表情を上目遣いで伺う。 そのとろーんとしたあどけない顔に、俺の中の何かが決壊した。 指を無理やり引きぬいて、また再び奥へ。 激しく抽送を繰り返し、口内を犯す。 と同時に、右の指を2本、一気に秘孔へと突き立てた。 [早紀]「んあっ……あああっ……」 俺のひざの上で、先輩の体がビクンと弓なりに反り返った。 既に十分すぎるほど熟れきっていたそこは、苦もなく 俺の指を飲みこみ、柔らかく吸いついてきた。 ひだひだででこぼこした粘膜が、ひくひくと物欲しげに 指先を締め付ける。と同時に、先輩は俺の左指に むしゃぶりついて激しく首を前後させ、強く吸い上げた。 まるで、指先が捕食されているかのようだった。 [稔]「すごいね、2本じゃ物足りない? もう一本増やしてみようか」 [早紀]「やあっ、そんないきなり……ああんっ……」 返事をまたずに、薬指もねじ込んでやる。 それぞれの指を乱暴に動かすと、先輩は俺の指から 口を離し、ぱくぱくと声にならない悲鳴をあげた。 [早紀]「あっ……あっ……んっ……んあっ……」 [稔]「気持ちよさそうだね、早紀……。 そんなに淫らに腰を振って……よっぽど入れてほしかったんだね」 [早紀]「ひっ、あっ……ちがっ……これは、ひあんっ……」 [稔]「他にどこを触ってほしいの?」 [早紀]「ああっ……はあっ……そんな……のっ」 [稔]「ちゃんと言葉に出しておねだりしなさい。 雌犬じゃないんだから」 [早紀]「……やっ……でもっ……」 [稔]「素直じゃない子は、僕は……」 [稔]「――嫌いだよ?」 [早紀]「……ごめんなさいっ! ごめんなさい、おとうさんっ」 [早紀]「ちゃんとっ、言います……だからあっ」 [早紀]「きらいに……あうっ……ならないでえっ……」 瞬間――。 俺は疑似的な背徳感に、冷や水をぶっかけられたような気がした。 本来それは俺ではなく、先輩の父親が味わうべき感情なのだが。 先輩の発した言葉は、額面通り受け取るならば、 どこの家庭でもありそうな親の愛を乞う言葉。 決して、このようなシチュエーションで使われるべきではない言葉。 例えば、ごめんなさい、ありがとう。 そんな基本的なあいさつを教え込むようなノリで、 先輩は性行為を『しつけ』られていったんだろうか。 ……うすら寒い光景だ。吐き気で頭がくらくらした。 [早紀]「胸をっ……胸を触って下さいっ」 先輩の切羽詰まったような声に、思考は中断させられた。 俺はのろのろと、空いた右手で胸骨のあたりをさすってやった。 鎖骨の辺りからふくらみの手前までを、繰り返し、丁寧に往復する。 いい子、いい子となだめるように、鎮めるように。 しかしそれは、既に出来上がった先輩にとっては じらし以外の何物でもなかったようで。 先輩はもじもじと脚をすり合わせた。 [早紀]「そこじゃなくて……もっと、下を……」 下? 手をおなかに移動させると、先輩はじれったそうに声を上げた。