// Scene1: 悪夢(これからの展開を象徴するような) // // 背景:黒いもやもやした感じ(動画) // SE:女のすすり泣くようなホラー系のもの // [稔]「待って……思いとどまってくれよ……」 // SE:「もう、遅いわ」「十分よ」「ふふふふっ、ははっ」 // (サンホラ系。複数の声を重ね合わせる) [稔]「なんだって、こんな突然……」 // SE:「突然?」「突然ですって」「やっぱりね」 [稔]「どうして、こんなことになっちまったんだ?」 // SE:「気付いてなかったの?」「気付いてほしかった」「信じてたのに」 [稔]「俺がいったい何をしたっていうんだ、なあ!?」 // SE: 「何もしてないわ」「何もしてくれなかった」「ずっと待ってたのに」 [稔]「こんなことして、それでお前は満足なのか?」 // SE: 「さあ、どうかしら」「私にもわからない」「もう、どうでもいいの」 // SE:「無理よ」「もういいの」「あなたにはきっと分からない」 [ひめ]「稔くん? 大丈夫? 稔くんってば」 [稔]「だからその、物騒な獲物を振りかざすのは――!」 // SE:「さよなら」 // エフェクト:ナイフを振りおろすような軌道、ホワイトアウト [稔]「うわあああああああああああああああああっ」 // スチル:稔ベッド。傍らで覗き込んでいたひめにしがみついている図 [稔]「あ……?」 [ひめ]「やだ……稔くんてば」 [稔]「ここは……」 [ひめ]「朝から元気なんだから、もー」 [稔]「……夢、か……」 [ひめ]「いいの、続けて?」 [稔]「へ……何を?」 [ひめ]「もう稔くんったら、女の子にそんなコト言わせるつもり?」 [稔]「あ、うわっ! ごめん、寝ぼけてて」 [ひめ]「照れなくてもいいんだよ、稔くん」 [稔]「いや照れてるとかそういう問題じゃなく!」 [ひめ]「なによ、稔くんから抱きついてきたんじゃない。 男なら最後まで責任とってくれるよねっ」 [稔]「だが断る!!」 [ひめ]「ええええっ!?」 [稔]「もう、いい加減からかうのはやめてくれよ。 ガキの頃からいつもいつもそーやって……」 [稔]「いい? 俺と姉さんは――」 // スチル終了。背景:天井 [稔]「正真正銘、血のつながった姉弟同士なんだからね!」 // 場転。道。登校中 // SE: 走る足音 [稔]「やべ、もうこんな時間かよ。 くっそあの馬鹿姉、ぎりぎりまでしがみつきやがって……」 [稔]「んでもって腹減った飯を出せだの、デザートに甘いココアつけろだの ココアには焼いたマシュマロ2粒入れろだの 平日の朝っぱらからわがまま放題言いやがってえええ」 [稔]「俺は家政婦じゃねえ!!」 [稔]「いい加減ガツンと言ってやった方がいいのかな……。 いつの間にか飯の準備も掃除も洗濯も、すっかり俺の分担になっちまってるし」 [稔]「そりゃ中学の頃は全部姉さんがやってくれてたけどさ。 だからっていきなり100%シフトはちょっと酷過ぎるよな」」 [稔]「よし、帰ったらビシッと言ってやるぞ。言ってやる……」 [稔]「せめて自分のパンツぐらい自分でたたみやがれ!!」 [みずき]「み、みのる……?」 [稔]「うわあああああっ!!」 [みずき]「朝からどしたの? 道のど真ん中でパンツパンツって……」 [稔]「いや連呼はしてないからっ」 [みずき]「ポイントそこ!?」 [稔]「あいや、あは、ははは、ええとどうしたんだ? この時間にこんなところにいたら遅刻だぞ?」 [みずき]「あたしはいつもこの時間だよ? 自転車だし。 みのるこそ、ちんたら歩いてていいの?」 [稔]「ぐっ、痛いところを……」 [みずき]「急ぐんなら乗る? 後ろ。 荷台ないから立ち乗りだけど」 [稔]「お、神! 助かるぜ」 // SE: なんか自転車に乗ったっぽいみしっという音 [みずき]「んっ……お、重い……」 [稔]「すまん。俺がこごうか? 代わろうぜ」 [みずき]「いいのっ、あたしがこぐのっ!」 [稔]「いやでもなんかぐらんぐらんいってるし!」 [みずき]「あたしに……ま・か・せ・て・おきなさぁいっ!」 [稔]「うわあっ!!」 //背景:流れる風景(自転車) [稔]「お、すげえ……マトモに走ってる」 [みずき]「み、みのる……手、手が……」 [稔]「ん?」 [みずき]「手、もちょい下に……」 [稔]「うわっ、すまん! つい必死にしがみついちまって」 [みずき]「あ、うん、いいの! 不可抗力ってことは分かってるから!」 [稔]「そ、そか。ご協力いたみいるぜ」 [みずき]「いえいえこれくらい朝飯前でさあ」 [稔]「飯食ってねえのか?」 [みずき]「今朝は昨日の残りのけんちん汁に塩鮭、あとひじきの煮ものだったよ」 [稔]「お、純和。いいねえ。俺どうも和は作れなくってさ。 てきとーに食パンと目玉焼きになっちまうわ」 [みずき]「あれ、まだみのるが作ってるんだ? ひめさんは?」 [稔]「ダメダメ。炊事洗濯、掃除に買い出し何一つしやしねえよ」 [みずき]「受験生だもんねえ」 [稔]「姉貴はAO入試組だぜ」 [みずき]「あ、そなんだ」 [稔]「ああ。まあ受験期入る前から家事してなかったし。 てか、俺らが高校入ってからずっとだな」 [みずき]「早くお父さんの海外赴任、終わるといいね……」 [稔]「その前に俺が大学入って家出たりしてな」 [みずき]「そしたらひめさんもついてきたりして」 [稔]「その冗談は笑えねえよ……。ったく、あんなんで嫁の貰い手あるんかね」 [みずき]「あれ、ひめさんもてもてでしょ? あんなにかわいいんだもん。 うちの学年でもかわいいかわいいって騒いでる子、よく見るよ」 [稔]「まあ、そりゃそなんだが……嫁はマスコットじゃねえからなあ」 [みずき]「みのるはどんなお嫁さんがいいの?」 [稔]「ほへ?」 [みずき]「あ、た、例えばの話っ」 [稔]「んー、そうだなあ」 // 選択肢 1. 外見重視 2. 家事重視 3. 性格重視 4. 収入重視 //1.外見重視 [稔]「やっぱ見た目でしょう! 美人でグラマラスで、ついでに床上手だったら最高だな!」 [みずき]「とこじょうず?」 [稔]「あいやこっちの話っ!」 [みずき]「……ふーん、そんなのが稔のタイプなんだあ。 たとえば、蓬山先輩みたいな?」 [稔]「あ、あはは、そ、そうだなそんな感じそんな感じっ」 [みずき]「そっかあ…… // 2. 家事重視 [稔]「やっぱ家庭的な子がいいな。しっかり家を守ってくれて、いい母親になってくれそうなタイプ」 [みずき]「そうなんだ」 [稔]「ああ。多少は仕事しててもいいけどさ。最低限、子供といる時間をちゃんと大事にしてくれる人がいいよ」 [みずき]「やっぱり、寂しい?」 [稔]「あ?」 [みずき]「お母さん、ついて行っちゃって」 [稔]「……ん、まあな。まあ、親父があんなだからしょうがないけどさ。 俺はもう慣れっこになっちまったけど、やっぱ子供に同じ思いをさせたくはないな」 [みずき]「そっか……うん、そうだよね」 [稔]「ああ」 [みずき]「あたし、がんばるね」 [稔]「へ?」 // 3. 性格重視 [稔]「やっぱ性格だろ。一緒にいておもしろいやつがいいよ。 会話が続かないとしんどいじゃん」 [みずき]「あたしは候補に入るー?」 [稔]「お前? うん、悪くないぜ」 [みずき]「……ホント?」 [稔]「まあ大半がゲームネタになりそうだけどな」 [みずき]「あはは確かにっ! そうだ。またゲーセン行こうよ。 新しいシューティング入ったんだ」 [稔]「シューティングか……弾幕系?」 [みずき]「うんっ」 [稔]「俺弾幕系苦手なんだよな……まあいいや、付き合ってやるぜ」 [みずき]「やったー!」 // 4. 収入重視 [稔]「今の時代は収入だろう……。ダブルインカムじゃないとやっていけないぜ」 [みずき]「ず、ずいぶん現実的だね……」 [稔]「ああ。むしろ高給取りの女に飼われたい。ヒモになりたい」 [みずき]「えー、そんなあ。夢がないなあ」 [稔]「いいんだ。ほらだって俺、家事できるし? 男の家事手伝いがいたっていいじゃないか! 大体なんで男は無職で女は専業主婦なんだ? それこそ男女差別じゃねえか!」 [稔]「俺は堂々と専業主夫を名乗りたい!」 [みずき]「……が、がんばってね……」 // 学校到着。校門