//最初は共通、途中から分岐 //昼みずき通過時 //背景『通学路』、BGM『日常』。 //お腹のなる音 [稔]「は、腹減った……やっぱ自分で食っとけばよかったかなあ」 [稔]「ついつい弁当食ったなんて嘘ついちまったけど、やっぱ昼飯抜きはきっついわー」   [稔]「うし、なんか適当に食って帰るとするか」 // 先輩通過時 // レジのガシャガシャガシャ、チーンという音 [店員]「ありがとうございましたー!」 //背景『商店街2』、BGM『日常』。 [稔]「さてっと、調達完了……ついでにどっか寄ってくかなあ」 [稔]「しかし1200円か、けっこう痛い出費だなあ。とっさに口走っちまったとはいえ、四倍プッシュはやりすぎだったかな」 [稔]「でも先輩本気で怒ってたし、今さら言葉のアヤで、なんて言えねえよな。……プリン4つで挽回できるといいんだけど」 // ここから分岐。以下みずきルート。 //背景『商店街2』、BGM『日常』。 //SE『お腹の鳴る音』。 [稔]「さて、今日はどこの店に行くかな」 // ファーストフード店などの背景(カラオケとかも使うこともあると思うので、そういうのを流用して)をパラパラ変えて、最後に屋台を表示。 [稔]「たこ焼きか、悪くないな」 [店主]「悪くないだと? てめ、何様のつもりだ!?」 [稔]「ひっ……いえすみませんっ、いいですっ、サイコーです! このタコ焼き屋、サイコーですっ!!」 [店主]「ああん? てきとーなこと言ってんじゃねえよ! どこがいいのか具体的に言えねえのか!?」 [稔]「え、ええっと、まず匂いが違いますよね。ほのかに香る鰹節の香り……良質な出汁を使ってるんだと期待させる香りです。それにその紫色の袋に入った小麦粉、ひょっとして高級洋菓子店で使われるというスーパーバイオレットじゃないですか?」 [店主]「く、お前……そこに気付くとはっ!?」 [稔]「何より店構えが違いますよね。年季の入ったこの幌……風雨を問わず地道な営業を続けてきた店主の誠意が偲ばれます。それに、親父さんっ! 昔の職人を地で行く頑固さ、無骨さ……あなたの作るたこ焼きが不味いはずがありませんっ!」 [店主]「くくうっ、ここまで俺を理解してくれる奴が現れるとは……人生まったく捨てたもんじゃねえなあ! よし、ひとパック300円でいいぞ。持ってけ泥棒!」 [稔]「ありがとうございますっ」 はっ、つい買わされてしまった! この親父、カタギではないと思っていたが……やるな! まあ実際、すごくうまそうだ。 値段も安いし、いい買い物したなあ。 [稔]「それじゃベンチに移動しまして―……  ひひ、それじゃいっただっきまーすっ」 [みずき]「アウトっ!」 びしぃ! [稔]「この声は……みずきっ! ……って、ああっ!?」 [みずき]「ん、美味し♪」  ;;みずき(笑み)。 [稔]「い、いつの間に――!?」 [みずき]「なによ、こそこそ買い食いするのが悪いんじゃない」 [稔]「ああっ、ひと粒丸ごと食いやがって……」 [みずき]「それとも下級生の模範たるべき上級生が、まさか目の前で校則違反するんですかあ?」 [稔]「くそー、誰のせいで」 腹が減ってると思ってるんだ、と思わず出かかった言葉を慌てて飲み込んだ。 俺が好きでやったことだし、後付けで恩着せるのはかっこ悪すぎる。 [稔]「お……お前だって、一緒に食ってりゃ同罪だろうが!」 [みずき]「ぶーっ、あたしは買い食いじゃなくてもらい食いだからいーんです〜」 [稔]「……今度委員長の前でも同じセリフ吐いてくれるか?」 [みずき]「げ、ジョーダン。あたし、あの人苦手……」 [稔]「一応屁理屈であるってことは認識できてるらしいな」 [みずき]「むー!! あ、そうだ。はいはいはーい!」 [稔]「なんだよ、まだ言いたいことがあるのか」 [みずき]「藤宮センパイはあ、将来を嘱望されてる身なので、内申にこんなことで 傷をつけちゃいけないと思いまーすっ」 [稔]「……お前は?」 [みずき]「あ、あたしはほら、もう一回ドロップアウトしちゃったし……」 [稔]「……」 [みずき]「あ、あはは」 [稔]「……お前も伊万里同様、調教してやらないと駄目みたいだな」 [みずき]「ほえ?」 [稔]「そういう自虐ネタはツッコミづらいって、学校で習わなかったのかあああ」 [みずき]「ふぎゃあああいだいいだいいだい〜」 たこ焼きひと粒分の恨みも上乗せして思いっきり頬を引き伸ばしてやった。 [みずき]「痛いよう、口裂け女になったら責任取ってよね」 [稔]「ああなれたらな」 [みずき]「やった」 [稔]「なる気かよ」 [みずき]「ああ、ほっとしたらおなかすいちゃった。みのる、たこ焼きちょうだい?」 [稔]「今度はえらく直球で来たな」 [みずき]「回りくどい方が好き?」 [稔]「いや全然。でもさあ……もちょっとひねってみたらどうよ。例えば色仕掛けとか」 [みずき]「お客さ〜ん、どんなのがお好みなんですかあ?」 [稔]「そうだな、こうちょっと横向きに前屈みになってだな」 [みずき]「ふんふん」 [稔]「腕で胸を強調しながら、上目遣いで、こう……」 [みずき]「ご主人さまあん」 [稔]「ぶはっ」 [みずき]「ちょっ、みのる、きったなーいっ」 [稔]「お前がイキナリ変なコト言うからだろうがっ」 [みずき]「あ〜あ、あたしのたこ焼きが〜……」 [稔]「だからこれは俺の……はあああっ……もういい……分かった、食え」 [みずき]「え、ホント? やったー!」 先輩だから、そう、先輩だから譲ってやっただけだ。 断じてあのおねだりのせいじゃない。断じて。 [みずき]「いっただっきまーす! はふっ……はふ、はふ、んぐんぐ……うん、美味しい! みのる、これすごーく美味しいよ! とろーっとする焼き加減が最高!」 [みずき]「あっ……違う違うっ! これ、みのるの買い食いをやめさせるためなんだからね! あたしが食べたいんじゃないのよ、感謝してねっ」  ;;みずき(笑み) [稔]「……別にそんな取ってつけたような言い訳せんでも……」 [稔]「っていうか、お前、なんでここにいるんだ? まさかまた何か雑用を引き受けて――」 [みずき]「あったかーい、おいしい〜♪」 [稔]「……無視ですか」  しかし美味そうに食うなあ。  少しは残してくれるかなあ。  おい、もうラストひと粒かよ。  ああ、それすらも飢えた野獣に呑み込まれてゆく…。  この食欲、並みの兎じゃねえな。これからはポーパルバニーと呼ぼう。 [みずき]「ふぅ、満足満足。ごちそうさまでした」 [稔]「どういたしまして」 悔しいから前歯の青海苔のことなんて教えてやらん。 せいぜい俺以外の誰か相手に赤っ恥をかくがいい!! [みずき]「さて、おなかもいっぱいになったことだし……」 [みずき]「次は反省会だよね、みのるくん?」 [稔]「……え」 [みずき]「いつもいつも買い食いばかりして! 校則違反もそうだけど、 太るし身体に良くないの分かるでしょ!?」 [稔]「おい、今たこ焼きひとパック完食したのはどこのどいつだよ」 [みずき]「あたしはいいの。みのるの健康の方が大事なんだから」 [稔]「またそういう屁理屈を……」 [みずき]「だいたい昼に何食べたわけ?」 [稔]「……さっき言っただろ、弁当だよ弁当」 [みずき]「中身はっ?」 [稔]「っと、ハンバーグと卵焼き!」 [みずき]「なによ、野菜が入ってないじゃないの!」 まあ実際には飯も肉も何も食ってないんだけどな! [みずき]「朝は?」 [稔]「ええっと、今朝は……」 [みずき]「食パンにツナマヨ、トマトとレタスのサラダ!」 [稔]「おお、大正解!」 [みずき]「昨日の夜は!?」 [稔]「夜は……」 [みずき]「炒飯でしょ! それくらい憶えときなさい!」 [稔]「はいぃ! って、おい待て」 [みずき]「昨日の夕方!」 [稔]「えっと、あ、そうだ、アレ、あそこの――」 [みずき]「星野屋の牛丼! つゆだくの卵つき!」 [稔]「ははーっ、参りましたーっ……  って、お前、なんでそこまで俺の食ったもの知ってるんだ?」 [みずき]「え……えっと……」 [みずき]「そ、そんなことはどうでもいいじゃん! とにかく、食生活はきちんとすること! じゃね、ばいばーいっ」 [稔]「あ、おいっ」 ;;みずき消し [稔]「なんだなんだ? てっきり姉さんあたりに聞いたのかと思ってたけど違うのかな……?」 ;; 注) この段階では、みずきは盗聴器仕掛けるまでは病んでません。 ;; 家での食事は姫ねーさんから聞き、外食関係はストーキングして調べています。 ;; (ストーキングがバレるとまずいので、急いで逃げ帰ったわけです) ;; この日はお昼はかけずり回っていたので、調査する余裕がなく、 ;; みのるが弁当を食べてないのには気づいていません。 [稔]「まいっか。大したことじゃねえな」 [稔]「あ、そうだ。いっちょたこ焼きの礼をだな……」 [稔]「おーい、みずきー、前歯に青海苔ついてたぞー」  ;;みずき(照れ。真っ赤)を一瞬だけ表示。 [みずき]「バ、バカッ、他の人に聞こえるでしょーっ!?」 [稔]「お前こそ、その反応は自分の歯に青海苔ついてるって  周囲に公言してるようなものだぞー!」 [みずき]「きーっ、お、お、おぼえてらっしゃあああいい!!」 ふふ、同い年でもからかいの年季が違うのだよ。みずきくん。 俺の完全勝利だな。 ;;SE『空腹音』 ……試合に勝って勝負に負けたとは、こういうことなんだろうな。はは。